着工2年~ドローンで見る馬毛島の現在と、馬毛島上陸報告

 

2023年1月12日、防衛省の環境アセス「評価書」と称する文書が公告された当日、自衛隊「馬毛島基地(仮称)」の本体工事着工。

2025年1月11日~12日、鹿児島県西之表市で「馬毛島基地着工2年 宝の島を壊すな!上陸&市民集会」開催。

1月11日、西之表市民(漁業者差止訴訟原告の漁師・濱田純男さん、馬毛島基地反対住民訴訟原告団団長・和田香穂里さんほか)、県外在住の支援者、沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さん、住民訴訟弁護団・弁護士の塚本和也さん、メディア関係者、計11名が馬毛島上陸を果たしました。上陸地点の葉山港では、抗議行動とドローンによる馬毛島の撮影を行ったということです。基地建設着工後の一般市民による馬毛島上陸は、昨年11月に続き2度目となります。1月24日、通常国会開会日の国会前で、弁護士の塚本和也さんにお話をうかがいました。
(聞き手:石井信久・島じまスタンディング)



石井(以下ー)馬毛島上陸と市民集会お疲れさまでした。馬毛島周辺、1月は海が荒れるということで心配していました。

塚本さん(以下◆)ちょうどその時だけ波がおさまったという感じでした。それでも結構、波をかぶりましたけれど。種子島の西之表港から、馬毛島の北東部にある葉山港まで、漁船で大体30~40分かかります。お昼過ぎに葉山港に上陸して、抗議行動とドローン撮影など、1時間半くらい滞在しました。その後馬毛島を一周して、西側でいちど止まって、馬毛島の西の海上からもドローンを飛ばして撮影しました。


今回は海上での警告とか、ありませんでしたか?

ありませんでした。前回の11月もそうでしたが、そこはあきらめているのかなあと。出発前に海上保安庁がいちおう来て、プレッシャーをかけてきましたけど。

上陸地点の葉山港、入会地があるということですが、どこからどこまで入れるのでしょうか?

葉山港っていうのは港湾法上の港湾として、市が管理する港湾なんですね。それと別に入会地があって、だから港周辺は基本何も言われないんですけど、ある所を境に...、葉山港を入って右側はタストン社の私有地だということでロープがー11月よりも厳重にロープが張られていました。左側奥が国有地だということで、そこもロープが張られて、警備員がいました。


警備員の態度はいかがでしたか?

タストン社側の人はちょっと、あの~、乱暴な言葉で...。

タストン社はまだいるんですね。工事とは関係ないですよね? 工事前から葉山港のそばに建っているビルも、まだあるようですが。

売らない土地を残して、何かしら関っているんでしょうね。葉山港周辺は、登記を取らなきゃと思っています。




あと...入会地とは何か、教えてください。

葉山港っていうのが、種子島側で言えば塰泊(あまどまり)浦、「浦」って呼ばれる小組合・漁村集落の管理する港だったんですね。葉山港を管理するにあたって、漁師さんたちが共同で利用できる土地、ってことで入会地というものを葉山漁港周辺に持っていて、代表者は登記をしていたわけです。

ただその、開発業者による土地買い占めの時に、代表者の方が登記を移してしまって...タストン社だったり、ほかのところに移ってしまって、それで裁判になっていたんですけど、入会権がある土地だということは、確認訴訟で勝ちました。最高裁で勝っています。だからそこを共同利用して良い、という権利は確定しています。一方で、登記抹消請求という訴訟をやったら、そっちは棄却されてしまいました。最高裁で棄却が確定してしまっていて、なんだかよく分からないねじれ現象みたいになっています。

確認はできているので利用はできると思います。漁師の濱田さんに言わせると、国が国有地だと言っている場所にも入会地がある、...そういう話も出てきているので、通行権の確認交渉や、場合によっては訴訟など、やらないといけないかなと思っています。


ドローンは葉山港のどこから飛ばしたのでしょうか? 防衛省が何か言ってきたそうですが。

葉山漁港から奥間政則さんが、ドローン規正法の指定範囲には入っていないことを確認した上で飛ばそうとしました。その時に防衛省職員が、もともと用意していたのかメモを読み上げて、ほかの工事関係のドローンと衝突する恐れがあるとか、落下の危険があるとか言ってきました。

「お断りします」という文言で、ふつうに聞いたら「禁止」と取れるような言い方でしたが、確認したところ、そこは「お願い」だということだったので、つまり以前の上陸の時と同じようにあたかも「禁止」できるかのような言い回しで制限しようとしてきたわけで、そこは、こちらは自由に飛ばす権利がありますので、そういう法的根拠のない禁止は受けられないということで、ドローンを飛ばしました。

ドローンの写真を見て、どう思われましたか?

そうですね、メディアが撮っているヘリからの映像よりも、くっきりと見えて...、ほんとうに土だらけで、いろんな人工物が建ち始めていることも、より実感できました。まだしっかりと分析できていませんが、マゲシカが見当たらないというのが、やっぱり明らかで...。

海岸すれすれまで地面がむき出しにされていて、そこも工事の予定範囲内なのだろうかと思いましたが。

ほんとうに監視が行き届いていないので、監視されていないのをいいことに範囲を超えてやっていることもあり得るので、しっかり今後とも監視していかないといけないと思います。

あと、和田香穂里さんがポジティブに言っていたのは、まだ、コンクリートで埋めつくされているわけじゃないから、土だらけとはいえ、まだ、緑の馬毛島は回復できると。そういう希望は、まだある。だから一刻も早く止めたいなと思いました。


さて、基地建設を止めるためにもたいへん重要になると思いますが、西之表市長選挙と西之表市議会議員選挙の投開票日が2月2日に迫っています。基地建設反対の市長を誕生させる最後のチャンスかもしれません。全国の人たちに向けて、メッセージなどお願いします。

そうですね。もう直前なので、鹿児島や種子島にお知り合いのある方はぜひ広げていただきたいということと、支援する会に入っていただけると間接的に応援になります。もし再選挙になってしまったら2月が勝負なので、なにとぞ注目と支援を広げていただきたいと思います。

基地反対の市長が誕生したらしたで、反発というか、沖縄のようにいろんな圧力が予想されるので、全国からも応援しているという声を上げていただきたい。あるいは全国から呼んでいただいて、全国行脚のようなこともしたいなと思っているところです。

今回、西之表市長選に6人が立候補しているので、法定得票=有効得票総数の4分の1に達する候補者が出ず、再選挙になる可能性がある。)

選挙結果次第で、裁判の行方も変わるということですが

住民訴訟については、市長選に立候補している三宅きみとさんは原告なので、当選すれば原告が被告側の立場にも立つということになります。和解協議が進むだろうということで、情報をしっかりと得た上で、和解につなげられたらなと。それが終わった後で、市もいっしょになって、差止め訴訟みたいなものに、つなげていけたらなあと思います。

裁判のスケジュールは

住民訴訟は、2月18日にwebの進行協議があって、そこで選挙結果を踏まえてどうするかで、残念ながら反対派の市長じゃなかったら淡々と進むかもしれないですが、5月13日に口頭弁論期日が指定されています。正式ではなく仮で押さえられていて、和解協議などが入ることになったら、ちょっと延期になるかもしれません。

明日(25日)から種子島に行かれるということで、お忙しい中ありがとうございました。


葉山港周辺。港のそばのガラス張りのビルは、着工前から建っているタストン社のビル。画面中央左寄りに並んでいるのは作業員の仮設宿舎。画面右奥の人工物は仮設プラント(生コンプラント)など。

仮設桟橋AとB。手前は葉山港。

葉山港上空から見た馬毛島東海岸の南側。手前が仮設桟橋C。その向こうに建設中の軍港施設、北接続施設と北防波堤などが見える。向こうの島は種子島。

葉山港の南側

海岸近くにはソテツの自生群落が広がっている。


葉山港。画面右上端はタストン社のビルの入り口。画面右側の建物の屋根が見えるあたりは入会地だろうか。


仮設桟橋AとB


仮設プラント。画面中央の大きな構造物が生コンプラント、その手前はセメント備蓄サイロ、右が仮設燃料タンク。

水平線上に霞むのは屋久島。



牛糞の鼻のソテツ自生群落。西之表市の文化財び指定されている。江戸期の大飢饉では、馬毛島のソテツが種子島島民の命を救ったという。この一体はオカヤドカリの重要な生息地だといわれている。



仮設宿舎など




中央の凹みは貯水池地区



画面手前から奥へ、葉山港から馬毛島小中学校跡地へ向かう市道が伸びる。



中央の緑が馬毛島小中学校跡地


馬毛島西海岸から馬毛島北部をのぞむ。画面中央に調整池。

馬毛島西海岸から。向こうに種子島。海岸ぎりぎりまで緑が剥ぎ取られ、滑走路が造られようとしている。

馬毛島西海岸から、馬毛島最南端をのぞむ。ウミガメが産卵に来るあたりだろうか。


画面右やや奥の台形に見えるあたりが岳之腰だと思われる。




写真:奥間政則さん ©沖縄ドローンプロジェクト

▼馬毛島環境アセス「評価書」の工事進捗図(計画)。1~2ヶ月と20~21ヶ月。写真と見比べてみてください。



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