「レゾリュート・ドラゴン」と「ヴァリアントシールド」ー島じまをうばう2つの戦争訓練

 


軍事訓練が、島じまをさらにうばい、地域のあり方を変えていく。
軍事訓練が、公共空間を軍民共用空間に変えていく。
軍事訓練が、そのまま、即応態勢・臨戦態勢を島じまに固定する。
軍事訓練が持ち込んだ最新の兵器が、そのまま配備される。
挑発的な軍事訓練が軍事緊張を高め、さらなる軍拡競争をうながす。
戦争のような軍事訓練が「平時」と「有事」の境目をなくしていく。

2026年6月、琉球弧の島じまをうばう日米共同訓練と、太平洋の島じまをうばう多国間訓練が、同時に行われようとしています。


「レゾリュート・ドラゴン26」
(日米共同訓練…陸上自衛隊と米海兵隊を中心とする実働訓練)
2026年6月20日(土)~30日(火)(11日間)
九州~琉球弧の軍事施設や民間空港・港湾など(大分県、佐賀県、熊本県、鹿児島県、沖縄県)

「ヴァリアントシールド2026」
(米国主催多国間訓練…「西太平洋地域」で隔年で行われている実働訓練)
2026年6月22日(月)~7月1日(水)(10日間)
ハワイ、グアム、日本(北海道、奄美大島、ほか全国各地)など


この記事は、6月6日の「島じまへとへとゆんたく」の内容の一部をまとめたものです。
ツイキャスの録画はこちらです。
①あれこれ(フィリピンと日本…序)~「レゾリュート・ドラゴン」やめろ!(30分)
②「ヴァリアントシールド」やめろ!~馬毛島地図旅行 前半(25分)
③馬毛島地図旅行 後半(22分)



「レゾリュート・ドラゴン」と称する軍事訓練は(このブログではくり返しになりますが)、琉球弧の島じまを戦場に仕立て上げる日米共同作戦計画を具現化する訓練です。

とつぜん「台湾有事」の危機が叫ばれ瞬く間に広がった年、2021年の12月23日、共同通信が台湾有事を想定した日米共同作戦計画」の原案を自衛隊と米軍が策定していることをスクープ。それは、米海兵隊の「機動展開前進基地作戦(EABO)」をベースとし、琉球弧の約40カ所に攻撃拠点を設け多数の小規模部隊が分散展開するというものでした。ちょうどその頃、そのようなコンセプトを具現化する訓練が、1回目の「レゾリュート・ドラゴン」としてすでに始まっていました。

2021年12月4日(陸自の)領域横断作戦(MDO)と米海兵隊の)機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえた連携」を掲げ、最初の「レゾリュート・ドラゴン」が北海道~東北の演習場で始まりました。「EABO」の主力と言われていた海兵隊のロケット砲システム「ハイマース」が沖縄の嘉手納基地から青森へ運ばれました。参加人数は約4,000人で、その当時は「日本最大規模の二国間実働訓練」と言われました。※…陸上自衛隊公式サイトより


それから毎年行われ、3回目以降年々大規模化していき、2025年には参加人数が約19,000人にふくれあがりました。2回目までは北海道などの演習場を「島」に見立てて行われ、3回目・2023年以降は「戦域」と設定されている琉球弧の島じまでも行われるようになりました。

2023年3月「石垣駐屯地」が開設し、与那国~石垣~宮古~奄美の4島の陸上自衛隊の新基地が「揃い」ました。その年の秋、さっそく石垣島でも「レゾリュート・ドラゴン」が行われました。基地建設着工前の住民説明会で伊藤晋哉沖縄防衛局企画部長(当時)は「石垣島で米軍と共同訓練する計画は、全くございません」と言っていましたが、さっそく行われました。「住民との約束」という概念を「防衛省」は持ち合わせていませんが、住民を踏みにじるスピード感にはいつも驚かされます。

石垣駐屯地において、山根総監とビアマン第3海兵機動展開部隊司令官は共同記者会見に臨み、地域の理解への感謝と訓練の意義について述べました。
2023.10.24陸上自衛隊西部方面隊twitterより 太字は引用者


2022年の「レゾリュート・ドラゴン」では、米海兵隊のハイマース」と陸自の多連装ロケットシステム「MLRS」が北海道の演習場で実弾射撃を実施しました。
2023年は、米軍の新型車載式レーダー「TPS-80」が石垣島に展開(翌年は与那国島に)。
2024年は、勝連分屯地(沖縄県うるま市)に発足したばかりの「第7地対艦ミサイル連隊」や、「EABO」を実行する中核となる部隊として前年に沖縄で編成された海兵沿岸連隊」が参加。
2025年は、「EABO」の新たな主力とも言われる米軍の無人地対艦ミサイルシステムネメシス」が石垣島に展開、中距離巡航ミサイル「トマホーク」などが発射可能な米軍の垂直発射機「タイフォン」(トレーラー車両に載せて移動展開する)が米軍岩国基地(山口県)に展開、米軍の自律型低視認性小型艇(無人半潜水艇)ALPV」が徳之島で輸送訓練。

…といったふうに、毎年、最新の「島嶼(とうしょ)戦争」のための兵器や部隊が投入されています。








そしてことしの6月、この島嶼戦争訓練の6回目が行われようとしています。

場所は、九州~琉球弧限定。米軍・自衛隊が勝手に「戦域」と設定する地域と「訓練域」が一致する傾向が強まっています。より島じまを踏みにじり、より挑発的になり、その結果さらに島じまを軍事緊張で圧迫し、さらに軍の論理によって島じまをつくり変えていくことにつながります。

「南西シフト」の新基地が造られた「4島」で唯一、これまで日米共同訓練が行われていなかった宮古島でことしの5月に、初めて日米共同の「指揮所訓練」が強行されました。それからわずか1ヶ月後に、「日米の共同調整所の運営訓練」、「共同衛生訓練(駐屯地内における患者の治療及び日米航空機による患者後送)」、「航空機による物資補給・輸送訓練」が、日米共同による「災害対処」を口実に行われようとしています。陸自のオスプレイも初めて飛来する計画です。


昨年「佐賀駐屯地」(2025年7月開設)へ移駐された陸自のオスプレイのうち5機程度が、日出生台演習場(大分県)、高遊原分屯地(熊本県)、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)、宮古島、石垣島での訓練に参加するそうです。陸自のオスプレイが沖縄県にある米軍基地を使うのは初めてとのことです。

米軍の揚陸艇「LCU」が「物資輸送訓練」のため、ホワイトビーチ(うるま市)、那覇港湾施設、石垣港(2024年4月「特定利用」指定)に停泊します。


昨年3月、初の陸・海・空自衛隊の共同部隊、琉球弧への迅速な部隊展開や物資補給を担う部隊として海自呉基地(広島県)で発足した「海上輸送群」が「輸送訓練」を行う計画です。

海上輸送群の中型級船舶「ようこう」が、民間港・大分港で弾薬や補給品を積載したコンテナ約70個を搭載し、志布志港(2024年8月「特定利用」指定)でおそらく約20個を追加し、奄美大島の名瀬港2024年8月「特定利用」指定)で揚陸します。コンテナはトレーラーで「瀬戸内分屯地」と「奄美駐屯地」運ばれます。

海上輸送群の小型級船舶「にほんばれ」は、鹿児島市の民間港・谷山港から名瀬港へ、弾薬を搭載した車両と「12式地対艦誘導弾」の車両を運びます。名瀬港で降ろされた車両は瀬戸内分屯地へ向かいます。奄美大島の北西岸に位置する名瀬港から、大島海峡に面する古仁屋港までの山道には、陸自基地建設に先立っていくつものトンネルが整備され、車で1時間ほどで行けるようになりました。2015年に開通した網野子バイパス(網野子トンネルと勝浦トンネルなどで構成される)の上に、山をくり抜いて造られた弾薬庫地区をふくむ瀬戸内分屯地があります。その道を、ミサイルを載せた車両が連なって行くのでしょうか。



奄美大島ではほかに、「奄美駐屯地」で「日米共同情報収集訓練」「対艦戦闘訓練(非実射)」「米軍ヘリの離着陸訓練」、空自奄美大島分屯基地」で「情報収集訓練」「NEWS(ネットワーク電子戦システム)による電磁波訓練」。そして、笠利崎灯台においては、日米共同によるマリンレーダ等による沿岸監視訓練及び陸上自衛隊の電磁波訓練を、倉崎海岸においては陸上自衛隊の無人偵察機(スキャンイーグル)、あやまる岬観光公園においては、陸上自衛隊の無人偵察機(スキャンイーグル)及び米軍の無人偵察機(ストーカー)の飛行による情報収集訓練を実施する計画です。また、各生地においては、陸上自衛隊が非実射による対艦戦闘訓練、NEWSによる情報収集訓練・電磁波訓練及びSSM統制装置を使用した指揮所訓練等を実施する計画です」とのこと。今回は、観光名所も多い奄美大島「北部」一帯が、重点的に「生地使用」されるようです。



「対着上陸戦闘訓練」「対艦戦闘訓練」「対空戦闘訓練」「ヘリコプター火力戦闘訓練」「戦闘射撃訓練」など、日米共同の激しい戦闘訓練の多くは、日出生台演習場(大分県)で行われる計画です。自衛隊約4,000人と米軍約520人がそこに参加するようです。


そのほか前回までで話題になった米軍の新兵器などは…米海兵隊の「ネメシス」と「マディス」はキャンプ・ハンセン(沖縄県名護市・宜野座村・恩納村・金武町)で「訓練終了式」に参加(ほかの訓練参加予定は見当たらず…)。自律型低視認性小型艇(無人半潜水艇)「ALPV」は那覇港湾施設で物資輸送訓練。


「慰霊の日」について
これまで秋に行われていた「レゾリュート・ドラゴン」ですが、今回は6月に行われる計画です。沖縄の島じまは、沖縄を戦場として使うことを前提とした日米による軍事訓練の最中に「慰霊の日」を迎えることになります。

「与那国島の使用について」では「慰霊の日(6月23日)を除く」、「石垣島の使用について」では「慰霊の日(6月23日)を除く」、「宮古島の使用について」では「慰霊の日(6月23日)を除く」、「那覇港湾施設の使用について」では「慰霊の日(6月23日)は建物内の訓練のみ実施」、「ホワイトビーチの使用について」では「慰霊の日(6月23日)は建物内の訓練のみ実施」としています。これが「防衛省」や「自衛隊」が考える「配慮」なのでしょうか。



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「ヴァリアントシールド」と称する軍事訓練は、太平洋の島じまを戦争に利用するための、米国が主催する訓練です。2006年から始まり、米インド太平洋軍の統合部隊による訓練として隔年で行われ、10回目の前回(2024年)から本格的な「多国籍行事」となりました。

前回初めて参加した自衛隊は、陸・海・空自隊員約4,000人、車両130台、航空機60機、攻撃型潜水艦、ヘリ空母、誘導ミサイル駆逐艦を派遣したそうです。

米軍、自衛隊のほかに、カナダ海軍、フランス海軍などが参加して、グアム、日本、北マリアナ諸島、パラオなどで行われました。

いま、インド太平洋地域の全域が、米国が主導し「同盟国・パートナー国」が従属するマルチドメイン作戦の、共同訓練・実験と共同作戦部隊の即応態勢を維持する場として設定されています。


インド太平洋防衛フォーラム(FORUM)のサイトより

PMTEC(Pacific Multi-domain Training & Experimentation Capability)
PMTECー太平洋多領域訓練・実験能力プログラムは、「インド太平洋における統合作戦や合同作戦の相互運用性を迅速に強化・促進すること」を目指し、2021年に創設された「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」に基づく米インド太平洋軍の資金提供・資源提供を受け、2023年に始まりました。
2025年4月の「インド太平洋防衛フォーラム(FORUM)」のサイトの記事…『太平洋 多領域訓練・実験能力』アンドレ・J・ストリディオン・サード博士/インド太平洋軍…には以下のように書かれています。

PMTECは
インド太平洋全域にわたる重要な演習および訓練エリアのインフラ改善に重点を置いている。

このプログラムは
国防次官室の複数のプログラムオフィス、統合軍各部、統合参謀本部、ミサイル防衛庁、同盟国およびパートナー諸国、さらには産業界との間で作戦、活動、投資を一体化させている。

PMTECの
進展と成功は、急速に進化する技術、分散型ネットワークアーキテクチャー、先進的な戦闘管理および指揮系統ツール、そして実働、仮想、構築型支援技術を実装することにより、米国国防省のプロセスを21世紀型の作戦体制へと変革している。これにより、インド太平洋全域で統合および共同作戦を行う戦闘員が複雑な全領域戦術の訓練を行いながら、戦略的な態勢維持および抑止活動を実施することが可能となる。

バリカタン、コブラゴールド、ガルータシールド、キーンエッジ、キーンソード、パシフィックセントリー、タリスマンセイバー、ヴァリアントシールドといった米インド太平洋軍の統合演習では、全領域または多領域の訓練およびリハーサル活動を促進するシナリオにPMTECの機能が組み込まれている。

PMTECは
2024年のヴァリアントシールド演習において、国防長官室、太平洋艦隊、米艦隊司令部、海軍航空システム司令部、海軍航空訓練システムおよび演習場、産業界のパートーと緊密に協力し、その能力の一部を実証した。この演習では、F-35、F/A-18、F-16、統合戦術航空管制、およびその他の仮想支援機能をグアムに展開し、複数の戦術訓練イベントを実施した。このデモンストレーションにより、仮想訓練が(中略)戦術訓練の精度、訓練の規模(演習場や空域の制約がない)、クルーが教訓を評価し訓練を繰り返す速度、そして観察者に戦術を明かさずに訓練を実施する能力を向上させることが証明された

PMTECの能力は
米インド太平洋軍が統合および共同作戦を全領域で実施する能力を有していることを示している。統合演習プログラムイベントはもはや二国間の地域安全保障協力に主眼を置いているわけではない。

統合および共同作戦部隊の訓練環境は、現代の戦場の進化に対応し続けなければならない。

PMTECプログラムは
変革の文化を推進している。この取り組みは、統合および共同作戦の相互運用性の強化、実働・仮想・構築型能力を活用した訓練およびリハーサルの実施、〝洞察の迅速化〟を達成するためのデータモデルツールの導入に焦点を当てている。これらのすべては、米インド太平洋軍司令官、その同盟国の司令官、そして彼の指揮下にある戦闘員が、いかなる課題に直面しても機敏に対応し、適応し、効果的に行動できるようにすることを目的としている。競争、紛争、あるいは危機において優位性を維持するためである。
(太字は引用者)



そしてことしの6月、その11回目、自衛隊が参加する2回目が、日本をふくむ「インド太平洋地域」で行われようとしています。

日本では北海道から琉球弧まで、広い範囲で行われる計画です。奄美大島では、「レゾリュート・ドラゴン」と一体的に行われるようです。


タイフォンとハイマース
米陸軍の中距離ミサイル発射装置「タイフォン」と、高機動ロケット砲システム「ハイマース」が、「ヴァリアントシールド2026」や、ことし9月に実施が計画されている「オリエント・シールド26」に参加するため、海自 鹿屋航空基地(鹿児島県)に一時展開することが明らかになりました。9月の訓練終了後、両兵器は在日米軍基地に保管されるそうです。




米陸軍のタイフォンは、昨年の「レゾリュート・ドラゴン」で初めて日本(米軍岩国基地)に展開しました。

ことし4月~5月にフィリピンで行われた軍事訓練「バリカタン」自衛隊も参加し地対艦ミサイルの実射などをした)では、タイフォンから巡航ミサイル「トマホーク」が実射されました。レイテ島のタクロバン空港に配備されたタイフォンから発射されたトマホークは、北西約630km先トマホークの射程距離は約1,600km)にあるルソン島のフォート・マグサイサイ基地に命中したとのことです。どのようなルートを飛んだのか分かりませんが、日本で言えば大阪府の関西国際空港からトマホークを発射し、宮崎県の新田原基地に着弾させた、という感じでしょうか?。その後タイフォンは、無人地対艦ミサイルシステム「ネメシス」とともに、そのままフィリピンに配備されています。

(琉球弧と、台湾を挟んで連なるフィリピンの島じまは、米国主導の対中国ミサイル戦略の拠点として重要視されていますが、日本とフィリピンはさいきん急速に軍事的結びつきを強めています。)


2024年の「ヴァリアントシールド」では、米陸軍は、パラオ国際空港から最新の精密打撃ミサイル「PrSM」を発射し、海上で移動する標的へ命中させました。PrSMは最大射程が1,000kmにもおよび、「ハイマース」などの自走するロケット砲システムで運用されます。

訓練で日本に展開した米陸軍の兵器がそのままなし崩し的に日本に配備されます。地上発射型の米軍の長射程ミサイルが、とうとう日本に配備されようとしています。




以下、「防衛省」「自衛隊」の資料を掲載します。











































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