勝連・うるま① ミサイル戦争態勢へ/うるま市ってどんなところ?/訓練場計画

連載①

 
ミサイル戦争態勢へ
 
 「地対艦ミサイル部隊」と、石垣~宮古~沖縄~奄美の4つの中隊を束ねる「地対艦ミサイル連隊」の2023年度内の配備が計画されている陸自「勝連分屯地」(沖縄県うるま市)。
 報道では、3月10日に車両約20台が搬入され、3月21日に160人規模で地対艦ミサイル部隊が発足される、という。 
 
 ひじょうに切迫した状況ですが、あらためて、勝連の問題について(3月2日配信の「島じまゆんたく」の画像を使って ▶録画1▶録画2まとめていきます。


 2013年12月の防衛大綱に、「島嶼部への部隊配備」「島嶼部等に対する侵攻を可能な限り洋上において阻止し得るよう、地対艦誘導弾部隊を保持する」「地対艦誘導弾部隊と連携し、作戦部隊及び重要地域の防空を有効に行い得るよう、地対空誘導弾部隊を保持する」と明記され、翌2014年4月には与那国島で新基地建設が始まりました。以来、約10年かけてつくられてきた南西シフト・ミサイル戦争態勢の第1段階は、勝連への地対艦ミサイル部隊配備の完了によって、ほぼ完成ということになります。
 通峡阻止・海峡封鎖態勢の、第1段階のピースが埋まる。そして次の段階へ…、地対艦ミサイルの長射程化と、琉球弧全体を「持久戦」の「戦域」として使っていくための軍拡は、もう始まっています。
(※まだ関連工事は終わっていません。保安林問題もあります。)


 島を守るためのミサイル配備ではないことは明白です。日本を守るためですらありません。地域を危険にさらすことが前提の配備です。しかし、勝連分屯地の弾薬庫(改修予定/保安林指定区域内にある)からいちばん近い民家までの距離はわずか173m住宅密集地までは493mしか離れていません。周囲には小学校や高校もあります。
 
資料:ミサイル配備から命を守るうるま市民の会
 
  いまつくられようとしている戦争を止める、そのためにいま、勝連への新部隊配備阻止に最大限の力の結集を!

 「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」は3月1日、配備計画の断念を求める署名約1万500筆を中村正人うるま市長に提出。3月4日、玉城デニー知事にミサイル配備に反対するよう要請。
 そして3月10日午前7時~、中城湾港西埠頭(第4ゲート)で阻止行動が行われます。
▶「チョイさんの沖縄日記」3.9



うるま市ってどんなところ?

 沖縄県うるま市は、2005年に具志川市・石川市・与那城町・勝連町が合併して発足しました。金武湾中城湾に面し、勝連半島(与勝半島)と8つの島…伊計島・宮城島・平安座島・浜比嘉島・藪地島・浮原島・南浮原島・津堅島があります。美しい風景と豊かな自然環境については、いずれまたご紹介できれば…と思います。

 
 軍事施設の多いところです。米軍施設としては、嘉手納弾薬庫(の一部)陸軍貯油施設天願桟橋キャンプ・コートニーキャンプ・マクトリアスホワイト・ビーチがあり、自衛隊施設としては、具志川送信所勝連分屯地沖縄基地隊浮原島訓練所があります。基地総面積(米軍+自衛隊)は市の面積の約7.7%を占めています。

 
 海上は下図のように、在日米軍の訓練区域とされています。(ホワイト・ビーチ地区は海軍訓練区域、津堅島訓練場と浮原島訓練場は陸軍及び海兵隊訓練区域)

海上保安庁ホームページより
 
 さらに、昨年12月、うるま市北部・旧石川市のゴルフ場跡地(約20ha)に、陸上自衛隊の訓練場を新設するという計画がとつぜん、「もう予算案に費用を計上します」という段階で明らかになりました。
 勝連分屯地への地対艦ミサイル部隊配備計画のほか、那覇に拠点を置く陸自第15旅団を師団へ格上げする計画など、沖縄島の陸上自衛隊の規模拡大に伴い、訓練場も増やしたい、という考えのようです。ミサイル部隊の展開訓練やヘリでの輸送訓練、夜間訓練などが想定されているとのこと。防衛省は、2024年度予算案に用地取得費用を計上しています。

 そして、勝連半島から知念半島にまたがる広大な中城湾港は、「特定重要拠点空港・港湾(仮称)」の指定候補施設とされています。自衛隊や海上保安庁の艦船が利用できるように岸壁や航路の整備を進め、あわせて、自衛隊・海保が「平時から円滑に」利用できるよう管理者(自治体など)との間で「枠組み」を設ける、というもの。訓練や物資の輸送、機動展開の拠点として、さらに、琉球弧全域に分散展開するという新たな日米共同作戦の拠点として「公共インフラ」を自由に使えるようにしよう、というものです。



国土交通省の港湾計画「中城湾港(改訂)」2021.3.3交通政策審議会 第84回港湾分科会資料より



陸自訓練場計画の行方は?

 1月14日、地元のうるま市旭自治会が臨時総会を開き、反対決議を全会一致で採択しました。「我々に何の説明もなく一方的に進められていることが非常に残念でならない」と石川修自治会長。区民からは「自衛隊車両の通行やヘリの飛行によって生活が脅かされる」などの意見が相次いだとのことです。
▶RBC琉球放送1.15 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rbc/941145?display=1

 訓練場の候補地は、こんなところにあります。


 「うるま市民の森公園」のすぐ近くです。「県立石川青少年の家」の宿泊棟との距離は約60m、ナイトウォークで利用する山道からは近いところで約15mだそうです。周辺にはイボイモリやクロイワトカゲモドキ、オキナワスジボタルなどが生息し、自然環境への影響も懸念されます。石川青少年の家所長の石原昌二さんは「活動が妨げられる事を心配している」「計画を断念して欲しい」と訴えています。
▶琉球新報2.2 https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2762431.html
 候補地の沖縄自動車道をはさんで南側は住宅街です。そして候補地の南西約1500mのところには、1959年6月30日に米軍機が墜落した、宮森小学校があります。
 あまりにもとんでもない計画に、反対の声がどんどん広がっていきました。

2月 1日 うるま市の石川地区自治会長会が計画への「反対」を決定。
2月11日 防衛省の住民説明会。約280人が参加。
2月17日 玉城デニー知事、木原稔防衛相に「計画には賛成しかねる。一度白紙に戻して見直しほしい」
2月27日 自民党沖縄県連「地元の合意形成を得ることは難しい」と、防衛省に白紙撤回を求める考えを示す。
2月28日 防衛省、いったん白紙に戻す方向で検討を進めている、との報道。
(▶NHK 沖縄NEWS WEB2.28 https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20240228/5090026825.html
3月 3日頃 地元の石川地区で計画の断念を求める署名活動始まる。
3月 5日 うるま市自治会長連絡協議会旧石川市議会議員OB会が白紙撤回を防衛局に要請。
3月 6日 うるま市議会総務委員会、旭区自治会から出されていた「防衛省に計画断念を求める請願書」を全会一致で採択。(最終本会議での採決は19日の見込み)
3月 7日 沖縄県議会、与野党の議員15人が提出した「防衛省に白紙撤回を求める意見書」を全会一致で可決。
3月 8日頃 金武町区長会「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会」に加入することを全会一致で決定。

…陸自訓練場計画の白紙撤回を求める動きは、島ぐるみの大きなうねりとなっています。しかし一方で、勝連分屯地への地対艦ミサイル部隊配備については、どうでしょうか。

 3月20日には「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める市民集会」が石川会館大ホールで開催されます。

 
 

◆3月18日(月)18:00~19:00官邸前行動を予定しています◆
【勝連をもう2度とミサイル半島にさせない!】
ー与那国島、石垣島、波照間島、宮古島、下地島、北大東島、久米島、入砂島、伊江島、沖縄島、沖永良部島、徳之島、奄美大島、喜界島、臥蛇島、種子島、馬毛島、九州島…島じまを奪って戦争をつくるな!

呼びかけ:島じまスタンディング、STOP大軍拡アクション





▼以下、「ミサイル基地・勝連分屯地の現在」(資料提供:ミサイル配備から命を守るうるま市民の会)を再掲します。
※資料の中で「来年」とあるのは、今年(2024年)のことです。













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